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ロックの部屋

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Orbital

オービタル『Work 1989―2002』~テクノハウス度★★★~



70年代後期から登場し80年代にかけて流行したエレクトロニック・ポップ(テクノポップ)も、90年代に入りよりスピード感とリズムを強調し、よりメロディックな音楽へと進化していった。

それは丁度原石から不純物を取り除き、より輝きを増した宝石のような目映い輝きに満ちた音楽。

【オービタル】はその90年代を代表するテクノユニットだ。この手の音楽はサンプリングやシーケンサーをふんだんに使用しているので、どこまで自分たちで演奏しているのだかが分かりません。予め用意していた音源を、手動ないしは自動でプログラミングしておき、どんどん音を重ねていったり、パズルのように組み合わせていく。

当然リズムマシーンの使用によるものだろうが、基本にあるリズムが、いかに踊れる音楽であるかも評価の対象になる。

この『Work 1989―2002』は1990年から2002年にかけて発表された曲の中からのベスト集です。

初期のヒット曲「Chime」も当然あります。これはごく他愛のないエレクトロニックサウンドですが可愛らしいイメージがついてまわります。

「Illuminate」のようにヴォーカルが入ったナンバーもあり。アルバム内でもライブなどでも単調さを回避するのにはヴォーカル入りの曲があるということは重要な要素です。オービタルが長い間人気があるというのもこのあたりにありそうだ。

そしてドラマチックな「Saten Spawn」ハードロックに近いこの曲のグルーブ感はまさにトランス。飽きさせない。ステージではきらびやかなライトが四方八方に飛び交い見るものを恍惚状態に落としいれるのではないだろうか。

「Nothing Left」「Halcyon」「Are We Here?」「Fanny Break」では女性ヴォーカルを採用、ファンタスティックな雰囲気を持たせることに成功している。

「Impact」11分19秒の大作です。この曲も変化があって聴き応え充分。5分過ぎにリズムが変わる。エレクトロニックビートとエレクトロニックメロディーの掛け合いが見事、迫力満点。蝉がミンミン鳴っています。背後には幻想的なハーモニーが陽炎のように聞こえてくる。

「Style」は比較的彼らにしてはレトロなテクノポップ風。

「The Box」は中近東風メロディー。

このようにエレクトロニックミュージックといっても、オービタルの音楽には様々な要素が見える。可能性に挑戦してきた10年だったのだろうし、今ある人気は成功を物語っている。昨年解散したという話ですが、充電期間と考えてもいいのではないか。また新たなエレクトロニックミュージックの具現化に期待したいと思う。

(2005-02-19記)


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